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Webメディアは儲かるか?広告表現の可能性とコンテンツ(1/3)

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株式会社ピースオブケイク
代表取締役CEO
加藤 貞顕氏

1973年、新潟県生まれ。大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。アスキー、ダイヤモンド社に編集者として勤務。「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海)、「ゼロ」(堀江貴文)など話題作を多数手掛ける。2011年、株式会社ピースオブケイク設立。2012年、コンテンツ配信サイト・cakes(ケイクス)をリリース。2014年、クリエイターとユーザをつなぐWebサービス・note(ノート)をリリース。
※本記事は、ファンコミュニケーションズ広報ブログにて公開していた、2016年2月24日に開催したデジタルメディア研究所×ファンコミュニケーションズの共同プロジェクト「情報広告研究会」レポートの転載記事となっています。

Webメディアはなぜ儲からなかった?

メディア業界の移り変わりと「儲かる場所」の移り変わり

僕は株式会社ピースオブケイクを作って5年になるんですが、前職はダイヤモンド社で働いていました。ダイヤモンド社は100年位経っている出版社なのですが、ダイヤモンド社だけでなく講談社、集英社なども、その頃に生まれた会社です。100年位前、情報をコピーして販売して収益化するというビジネスモデルが生まれたんです。昔は、この出版事業が爆発的に儲かったんですね。今のIT企業みたいな感じだと思っていただけると、当時の状況が分かると思うんですけど。最初はどの出版社も正当な機関紙から始まっているんですが、文芸春秋社という出版社は、菊池寛というクリエイターが「クリエイターによるクリエイターのための出版社を作りたい」ということで誕生しました。その頃、取次という流通の仕組みもできて、業界のフレームワークが上手に出来上がったんですね。昔はめちゃくちゃ儲かっていたんですが、時代が変わる中で出版社は出版事業だけでなく、不動産収入などでも儲けるようになりました。今、出版社の多くが昔築いた富で不動産で食べている状況なんです。メディアの業界が移り変わって行く中で、儲かる場所も変わっている証拠ですね。

僕が会社を設立したのはまさにそうで、出版社というものがコンテンツを作って売るためには厳しい状況になってきているというのがあります。ダイヤモンド社で働いているとき、僕は編集者をしていました。編集者の仕事は二つあって、コンテンツを作ることと、コンテンツを広めること・売ることというのがあります。紙のフレームワークの中でビジネスをやっていくというのが難しいのではないか、デジタルでコンテンツを見て何らかのカタチでお金が動いてサイクルが続いていける仕組みが必要だろう、と思って会社を立ち上げたわけです。僕自身はもっぱらモノを作って売ることをメインにしてきた人間で、広告畑の人間ではないんですよ。作る側としても、お金が回っていかないと成り立たないので、今日はコンテンツを作っていく側でどのようにメディアをファイナンスしていくかという視点でお話しできればと思っています。

Webメディアはなぜ儲からなかったか

我々の会社がやろうとしていることは何かというと、「テクノロジーと編集力で、クリエイターが活躍できる市場をネット上に作る」ということなんです。現状を軽くおさらいできればと思うんですが、まずは出版市場の落ち込みについてお話ししたいと思います。出版市場は1998年にピークが来ていまして、2.6兆円の市場でした。これは販売だけの金額です。これが今や1.6兆円になっています。ピーク時と比べると1兆円も落ち込んでいます。一方、電子書籍は結構伸びてきていて、1000億くらいの規模なんですよね。でも「減り」と「増え」がかみ合っていないので、コンテンツを作る側の人間からすると、このままじゃヤバイなという実感です。

そしてこれは当然のことなのですが、人々の時間の占有度合が相当変わってきています。電車乗っていても、本を読んでいる人はほとんどいません。ほとんどの人がスマホを見ています。コンテンツの閲覧の状況が変わってきているだけでなく、もう一つ大きな問題がありまして、電子書籍は今後伸びたとしても、クリエイターの未来を支えることはできないと思っているんです。Web広告の収益性が低いことが、一番大きな課題なんですね。大体アドテクで入れた広告だと、平均ページビュー単価0.1円くらい。0.1円ってどれくらい低いのかという話ですが、前職でダイヤモンドオンラインというビジネスメディアを立ち上げた際、相当頑張って月間4000万PVでした。0.1を掛けると、月400万円ですよね。月400万円では、ダイヤモンド社の社員の給与は捻出できません。これはアドテクノロジーだけの金額なので、純広を入れるともう少し上がって1円くらいになります。ネイティブアドなどを入れて、2円くらい。ただそこまでいったとしてもかなり厳しい状況です。僕の目安で言えば、ハイレベルなコンテンツを作り続けるには、PV単価5~10円のものを作り続ける必要があると思っています。メディアの収益構造というのは、企業からお金をもらうか、読者からお金をもらうか、その二択なんですよね。現状のWebメディアは、企業側からしかもらっていない。読者からはほとんど取れていない。しかも収益性が低いと言う状況で、メディアが儲からないという状況なんですよ。既存の出版社で雑誌や新聞を考えてみると、企業からもお客さんからもお金をもらっている。この状況をなんとかできないかというのが、僕らが一番やろうとしていることです。読者からお金を取ることがまず手薄なので、ここを一番力を入れようと。

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