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数字を意識しすぎるとビジネスは失敗する?数学塾経営者が語る数字とコンセプトのベストバランス(1/3)

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和から株式会社
代表取締役社長
堀口 智之氏

新潟県南魚沼市出身で、渋谷・新橋・大阪などで月間400名以上の社会人に利用されている「大人のための数学教室 和®(なごみ)」の創業者。2010年に自己資金10万円で創業し、2011年3月に「合同会社 和(なごみ)」として法人化、代表に就任した。現在は会員数3,000人以上、講師40名以上を抱えるまでに成長。TBSや日経新聞、週刊ダイヤモンドなどの各種メディアから取材を受ける他、最近ではテレビ朝日「お願い!ランキング」やフジテレビ系列インターネットTV「ホウドウキョク」にも出演実績がある。

izuru株式会社
代表取締役
大塚 友広氏
(モデレータ)
群馬県富岡市出身。組織における「人」を起点としたブランド コンサルティング事業、今そこにある資源の最大化をはかりサービス、プロダクト問わずブランドを開発していく事業の2つの事業を推進するizuru 株式会社の代表取締役。富岡市世界遺産まちづくり部観光マネージャーや文部科学省地の拠点事業委員、丸の内朝大学講師、高崎商科大学特別講師、上毛新聞者オピニオン21委員、慶應義塾大学SFC×米国大使館TOMODACHIアントレプレナーシップセミナー審査員などを歴任する。

数学への「信頼」と「裏切り」、そして「新たなる関心」

天声人語で取り上げられた数学イベント

大塚:はじめに、堀口さんが開催されたイベント「ロマンティック数学ナイト」について教えていただけますか?

堀口:「ロマンティック数学ナイト」は今年の4月に初めて開催した、数学のロマンを語り合うイベントです。8月と10月にも第2回、第3回を開催しました。「数学」というと無機質なイメージがあるかもしれませんが、実はものすごい世界観があるんです。その世界を多くの方と共有したいという思いから、六本木のクラブを貸し切って共有の場にしました。全国から200~250人ぐらいの数学好きに集まってもらって、より多くの方に「数学って面白いんだな」と感じていただけるようにアレンジしたイベントになっています。

大塚:堀口さんの数学塾は、高く評価されています。朝日新聞の人気コラム「天声人語」にもこのイベントのことが書かれていましたが、天声人語で紹介されるというのは社会的に認められているというひとつの証拠だと思います。本日は、そんな数学塾がどのようにして社会的に評価されるようになったのか――というお話から、数字にビビらない本当のコンセプト構築法についてお話をうかがえればと思います。

簡単にお金を稼げる人と、そうでない人がいる

大塚:堀口さんは、「学生時代に数学に裏切られた経験がある」と聞きました。これはどういうことでしょうか?

堀口:私は数学が大好きで、大学時代には部屋に引きこもって1週間誰とも話さずに数学のことばかり考えたり、関連する本などをひたすら読み込んだりしていました。物理学科ではあったのですが、そういった生活をしている中で数学の世界観が何となく分かった時期、数学で世界が解明できると確信できた瞬間があったんです。

大塚:すごい瞬間がありましたね。

堀口:「世の中のすべてを数学で解明できる」「だから自分はもうこの世界で学ぶことなんて何もない」といったような勘違いをしていた時期がありました。その時は「自分は何にも縛られない」という感覚があったのですが、その一方で学生時代はお金に縛られるというか、お金に左右されるような場面が結構あったんです。

大塚:お金に縛られる、というのは?

堀口:お金に困っている学生は少なくないですよね?私もそうでした。現在の東京と比べると驚くかもしれませんが、大学時代はコンビニのアルバイトを時給630円でやっていました。夕方の5時から夜の10時ぐらいまで働いても、5時間で3,000円ぐらいしか入らないわけです。

その時、少し前に聞いた「海外でジッポライターを1個100円くらいで仕入れ、東京に来てそれを1万円で売りさばいている人の話」を思い出しました。そして同時に、「自分こんなにお金を稼ぐのに苦労しているのに、一方で簡単にお金を稼げる人がいるのはなぜだろう」と思い、お金が動く仕組みに興味が沸いてきたんです。「おかしいぞ。自分は数学で世界を解明できたと思っていたのに、まだ分からないことがあったんだ」という感じでしたね。

いかに数学が面白くないか、役に立たないか

堀口:そこで大学を休学し、インターンシップとしてあるベンチャー企業でどうやって売上を作っていくのかを勉強させてもらいました。当時の私は物事を数学的に判断していたので、会話がなかなか通じないこともありました。「数学的にはこうですよね」とか、そういう話はどうでもいいわけです。そこで、「数学的に物事を解釈しても儲からない」ということに気付きました。表現は極端ですが、いかに数学が役に立たないか、ということを痛感させられた時期だったと思います。

大塚:それはインターンシップをしていて、「数学は役に立たない」というのを自覚したということですか?

堀口:そうですね。今になって思えば、数学の扱い方を間違っていたわけですが。そのベンチャー企業は障害者の方の遠隔地雇用事業を手掛けていて、地方の障害者支援につながる画期的なビジネスを開発したのですが、自分には全く知識・経験のないビジネスモデルの話、収益性の話、人間関係の話、法律の話、どう戦略的に営業するかといった話など、全く皆の会話についていくことができませんでした。商品がないと営業できないと思っていたのですが、全く逆で、営業していきながら商品を作っていく発想など、自分の思考が固定概念やルールに縛られていることに気付かされました。社会に出たら、今までと同じ数学の知識だけでは解決できないことがたくさんあるんだと。

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