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朝の時間の概念を変えた「丸の内朝大学」に学ぶコンセプト構築 ~朝のビジネス街だからこそ成功した市民大学~(1/3)

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丸の内朝大学
企画委員会事務局次長
山本 寛明氏

和歌山県生まれ。2009年の開校以来、のべ15,000人以上が受講している「丸の内朝大学」の企画・運営を担当。コミュニティの創造を意識しながら活動し、学びを通したコミュニティづくりを行ってきた。丸の内朝大学の心臓部である企画委員会事務局の次長として、春学期、夏学期、秋学期と常に700人を超える受講生を取りまとめる。これまでに連携した自治体や地域は30以上。朝の時間の使い方の概念を変えた丸の内朝大学は、市民大学の成功事例としてメディアでも取り上げられている。

有限会社オールアズワン(クラス企画運営担当)
代表取締役
野田 武志氏

1974年、大阪府に生まれる。大学卒業後は外国製半導体輸入商社に入社し、コンサルティング事業のスタートアップを担当。2001年に法人化させ、2003年に独立した。その後はセールス・マーケティングの専門家としてクライアントの増収・増益に貢献してきたが、単なる利益の拡大と社員の幸福につながりがないことに疑問を抱き、これからの時代に求められる「組織と個人の在り方」を実現すべく有限会社オールアズワンを創業。「丸の内朝大学」では、クラスの企画や運営を提案、価値を創造する役目を担う。

izuru株式会社
代表取締役
大塚友広氏
(モデレータ)
群馬県富岡市出身。組織における「人」を起点としたブランド コンサルティング事業、今そこにある資源の最大化をはかりサービス、プロダクト問わずブランドを開発していく事業の2つの事業を推進するizuru 株式会社の代表取締役。富岡市世界遺産まちづくり部観光マネージャーや文部科学省地の拠点事業委員、丸の内朝大学講師、高崎商科大学特別講師、上毛新聞者オピニオン21委員、慶應義塾大学SFC×米国大使館TOMODACHIアントレプレナーシップセミナー審査員などを歴任する。

丸の内で働くビジネスパーソンが集まる市民大学の正体

自由に、そして自主的に学べるコミュニティ

山本:私たちが企画・運営をしている丸の内朝大学は「市民大学」と言われますが、市民大学はいわゆる「学校法人の大学」ではなく、社会人の方や学生の方が自主的に学べる機会をつくろうというコンセプトで誕生したコミュニティの場です。自由に、そして自主的に学べる場を分かりやすくイメージした言葉が「大学」だと思っていただければよいかと思います。

近年ではこの丸の内朝大学だけではなく、いろいろなところで学校法人ではない学びの場ができはじめています。私たちが丸の内朝大学を開校したのは2009年で、今年で8年目を迎えました。これまで、のべ約15,000人以上の方が通ってくださっています。1年に春学期・夏学期・秋学期という3つの学期を設けており、春学期の開校は4月、夏学期は7月、秋学期は10月といった形です。各期25クラスぐらい、年間で70クラスぐらいあります。

大塚:丸の内朝大学にはユニークなクラスがありますよね。例えばチアダンスクラスとか。

山本:チアダンスを踊るという、丸の内朝大学の代表的なクラスです。チアダンスというと女性がやるものというイメージがあるかもしれませんが、男性も結構参加されているんですよね。毎回学期が終わると、受講生の前で発表をする場を設けています。8回にわたり練習してきた成果を、そこで見せてもらうというわけです。参加されている方には「表現欲」のようなものがあるので、皆さんとても真剣に取り組まれています。

なぜ「早朝」というタイミングを選んだのか?

大塚:今でこそ一般的な言葉として認知されるようになった「朝活」ですが、それまでは当然のように「朝にイベントをやっても人は集まらない」と思われていました。そのあたり、スタートした当初はいかがだったのでしょうか?丸の内朝大学の授業は7時15分から始まりますよね。

野田:「ビジネスパーソンのためのコミュニティづくり」というテーマで取り組むなら、平日のワークタイムは当然活用できません。では、いつやるのか。平日の夜か休日という時間帯を考えるかもしれませんが、平日の夜は仕事の付き合いもあるでしょうし、週末もゴルフだったり、会社の集まりだったり、家族サービスだったりがあって集まれないという方が多いでしょう。だったら、自分の時間としてコントロールできるのはいつなのか――と考えたとき、「早朝」という答えが出てきました。朝だったら、しっかりと自己管理さえできれば参加できますから。まずそこに着目したというのがスタートです。

とはいえ、最初から人が集まるという自信がはっきりとあったわけではありません。当初は、丸の内朝大学の前身ともいえる「朝EXPO」という期間限定のイベントをやっていました。ある一定期間だけ早起きをしてもらい、早朝から自分のため、社会のためになることをちょっと考えてみませんか、というコンセプトでスタートしました。そうしたら、私たちが思っている以上にニーズがあった、という感じです。

大塚:当初は、丸の内で働くビジネスパーソンの方々にとって空いている時間が「朝しかなかった」という消去法的な選択だったんですね。でもお二人は、そこを有効に使うことに成功した。まさに「逆転の発想」です。

コミュニティを創造する大変さと育てる極意

大塚:丸の内朝大学は、1にも2にもコミュニティを大切にされています。コミュニティを創造することの大変さについて教えていただけますか?

山本:丸の内朝大学のコミュニティには、私たち運営サイドの人間と受講者の方がいます。ここのコミュニケーションが一方通行だと、いいコミュニティは絶対に生まれません。私たちが提供するものを「お金を出して買って(受講して)くださいね」というスタンスでやってしまうと、「自分事」にはならないんです。そして受講生にとっても、意識的に何かに取り組んでいるという感覚が生まれません。「必要な知識やスキルや考え方を得る(ために受講する)」という意識でいると、その知識やスキルや考え方を得たらもうその人にとって丸の内朝大学のコミュニティは必要なくなってしまう。やはりコミュニティをつくっていくには、持続性が欠かせません。受講生の方に、「そこが自分の居場所であるという感覚」を持ってもらうというのが大事なんです。

例えば、丸の内朝大学には温泉クラスという授業があります。そのクラスが閉校したら、受講生の方は「学んだことを活かしてちょっと自分で旅を企画してみようかな」という考え方になっていく。ときには、同じクラスの受講生を集めてイベントをやることもあります。こうなると、コミュニティは「つくる」段階ではなく「育つ」段階といえます。私たちの夢は、そのコミュニティをサポートして育ててあげること。できるだけ口出しはせず、温かく見守るという姿勢が大事だと思っています。

大塚:丸の内朝大学の授業は、受講生にただ教えるだけの授業ではない、ということですね。

山本:はい。受講者の皆さんが自発的に何かをつくっていこうとする姿勢を見守りたいと思っています。朝早く起きて勉強をしようという方々なので、皆さんものすごくアクティブ。やりたいこともいろいろ持っています。そうしたモチベーションを活かすことで、自分たちで考えて社会課題を解決するようなクラスに育ってくれます。そういう質の高いコミュニティが自然に生まれやすいように心がけることが、私たちの役目です。

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