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朝の時間の概念を変えた「丸の内朝大学」に学ぶコンセプト構築 ~朝のビジネス街だからこそ成功した市民大学~(3/3)

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丸の内朝大学の成功を支える4つのポイント

「そこに所属しているという意識」という価値

大塚:今回お話をしていただいた丸の内朝大学も例に漏れず、成功している取り組みには「同じコンセプトのつくり方をしている」という共通点があるように思います。丸の内朝大学の例で私が特筆したいのは、次の4点です。

・顧客やファンの声を大切にしている
・目に見えない価値を売っている
・他が絶対に真似できないモデルを構築している
・開きすぎず閉じすぎずの運営でバランスを取っている

「顧客やファンの声を大切にしている」については、例えば丸の内朝大学は、顧客の声をヒントにして一過性で単発だったイベントを常設の大学に変えています。顧客やファンの方からのメッセージで、うれしかったものはありますか?

山本:やはり一番は、「丸の内朝大学がなかったら全然今の生活が違った」という声です。いわゆるライフスタイルの一部というのでしょうか。居場所や生活の一部になっているというところがうれしいですね。

大塚:「目に見えない価値を売っている」は、どういう価値を売っているのかをきちんと考えていなければ実践できないものです。丸の内朝大学というのは、何屋さんでしょうか?

山本:何屋かと聞かれると難しいですね。コミュニティをつくっている場所なので、最も売りたい価値は「所属感」でしょうか。所属感が生まれる場所です。一番受講生に感じてほしいもの、価値を感じてほしいものは、「そこに所属しているという意識」だと思います。

野田:やりたいことをやっているだけではクラスになりません。授業をプロデュースする上で意識しているのは、普段の生活の中だけでは得られない自分を提供することです。皆さんには「もっとダイレクトに社会と関われているという実感を得たい」というニーズがあります。そういった場所をつくっていくことに価値があると思います。

山本:世の中、1人でやれることはもうあふれています。インターネットがあればどんな知識でも得られますし、それこそ通信教育でもいいわけですよね。朝大学に来る価値というのは、そこに「丸の内の朝だから集まる」という人がいるということなのです。ですので、コミュニティに共有意識を持ってもらいたいと思っています。コンテンツもそこを意識して、共有できるものをテーマに選びたいということですね。

朝という時間、丸の内という場所をきっかけに価値が育つ

大塚:3つ目は、「他が絶対に真似できないモデルを構築している」という点に関して。丸の内朝大学の、他社が絶対に真似できないところは何だと思われますか?

山本:受講生がお客さまだというふうに考えると逆説的になってしまうのですが、やはり受講生そのものが資源だと思います。丸の内朝大学がつくっている価値は、私たちが頑張ってコンテンツをつくったことによって生まれたものだけではありません。そこに来てくれる受講生が、「朝」という時間、丸の内という場所をきっかけとしてさまざまな価値を育ててくれているのです。その意味では、私たちと受講生、コミュニティ全体で価値をつくっているといえます。

大塚:お話を聞く限り、それは本当に他社では絶対に真似できないことですね。最後の「開きすぎず閉じすぎずの運営」については、一度お話をうかがったときにすごく印象に残りました。

山本:意識としては扉を開きつつ、でもコミュニティの心地よい部分は閉じて維持していくという考え方です。コミュニティというのはある特定のグループが枠をつくって集まるわけですから、基本的には「中にいて安心感がある」状態なので放っておくと閉じていきます。ただ、そこを意識して開いていかないと、良好なムードが停滞してしまう。できるだけ風通しをよくしていくことが、私たちの役目です。

先に触れた「朝」という縛りもそうですが、もし授業を夜に開催したら、他の層の方が来てくれるかもしれません。しかし、そうすると朝大学ならではの心地よさや共有意識はなくなってしまうでしょう。私たちの場合、そこは変えないでやっていくということです。

大塚:「内輪で満足するだけ」の集まりにならないように、でも大切なつながりの中で実現した心地よい環境は大事にしてあげる――ということですね。最後に、丸の内朝大学のコンセプトを一言で表現すると何でしょうか?

山本:「今まで注目されなかった『朝』だから生まれたコミュニティ」ということになるでしょうか。朝のビジネス街だからこそ生まれたコミュニティというのは、他の時間帯、他の場所ではちょっと実現できなかったことだと思います。

大塚:ありがとうございました。

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