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「ロボティクス」を通してヘッドウォータースが描く、事業組織とエンジニアの未来(1/3)

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株式会社ヘッドウォータース
代表取締役
篠田 庸介氏

1968年、東京都生まれ。1989年に大学を中退し、営業として企業の立ち上げに参画。それ以来、会社経営に携わり続けている。「近い将来、ソフトウェア技術者が大きく世界を変える役割を担う」という見立てから、2005年に株式会社ヘッドウォータースを設立。ビジョン共鳴型経営、アメーバ型組織、事業部制など、独自の経営理論を次々に打ち出した。また、他社に先駆けていち早く海外進出を実現している。

izuru株式会社
代表取締役
大塚 友広氏
(モデレータ)
群馬県富岡市出身。組織における「人」を起点としたブランド コンサルティング事業、今そこにある資源の最大化をはかりサービス、プロダクト問わずブランドを開発していく事業の2つの事業を推進するizuru 株式会社の代表取締役。富岡市世界遺産まちづくり部観光マネージャーや文部科学省地の拠点事業委員、丸の内朝大学講師、高崎商科大学特別講師、上毛新聞者オピニオン21委員、慶應義塾大学SFC×米国大使館TOMODACHIアントレプレナーシップセミナー審査員などを歴任する。

人型コミュニケーションロボットが提供するメリットとは?

今、注目される「未来感」という付加価値

大塚:初めに、ヘッドウォータースさんについて紹介していただけますか?

篠田:社員数は100人ぐらい、設立10年程度の小さい会社です。私たちが攻めているのが「ロボティクス(ロボット工学)」という分野で、特に人型コミュニケーションロボットに注力しています。ロボットを動かすアプリケーションの製作実績は231件で、おそらく国内ではナンバー1だと思います。

私たちはその分野で「すごく成功している」というわけではありませんが、ロボティクスの事業分野はマーケット自体が成熟しているわけではなく、「これから市場をどう作るか」にチャレンジしている最初の会社ということで、注目していただいているのではないかと思っています。

大塚:ヘッドウォータースさんは、Pepperアプリの企画・開発におけるリーディングカンパニーとも呼べる存在ですよね。

篠田:現在世に出ているコミュニケーションロボットの中で、最も金額と性能のバランスがよいのが「Pepper」というロボットです
最近ではビジネスでもいろいろ活用され始めており、都内の家電量販店などに行くと、販売員とロボットが軽妙なやり取りをしながらコーヒーマシンを売っている――というシーンを見ることもできます。

今お話ししたのはある有名飲料会社の例ですが、Pepper for Bizの導入は売上の面で大きな効果を上げています。というのも、「未来の生活を買う」というイメージでこのコーヒーマシンを選ばれている方が多いみたいなんですよね。プロモーションにロボットを使うことで、何となく「近未来感が一緒に買える」という付加価値を感じてもらえるのだと思います。

ただ人のように動くだけのロボットでは通用しない

篠田:人型コミュニケーションロボットが提供できる価値は、4つあると思っています。「単純作業」「心理ハードルの低下」「クラウドAI」「センサ/IoT」ですね。ロボットは人間の心理的なハードルを下げることにも貢献します。人にプライベートな質問をされると警戒してしまいますが、ロボットに言われても受け入れられますよね?人に「この保険はおすすめです」と営業されると「本当か?」となりそうなところ、ロボットなら何となく「そうかな」という気持ちにさせるという効果があります。

そしてロボットの難しいところ……言い換えれば面白いところは、ただ動くだけでは駄目なことです。これはスマホのアプリやゲームでもそうだと思いますが、仕様だけ満たそうと思えば作ることはさほど難しくありません。しかし、いかに面白く動かすか、いかにユーザーを飽きさせないか、といった演出やシナリオの部分を含めて「UI」「UX」を設計できないとつまらないのです。なので、ロボットのアプリケーション開発時間の半分ぐらいはシナリオ作りに費やします。製作は残り半分ぐらいでしょうか。

大塚:確かに、コミュニケーションという部分は難しいかもしれませんね。最適な「間」や「ニュアンス」というのは、人間でも苦労する部分ですから。

篠田:実は、ロボットはとてもリッチな表現ができるIoT(モノのインターネット)のデバイスの一つなんです。Pepperほど大きくないのですが、「Sota」というデスクトップ型ロボットをご存知でしょうか?今、これをある居酒屋に試験的に置いています。居酒屋でスマホと連動させて顔登録をすると、以降はそのお店に行くと顔を認識して名前を呼んでくれるんです。

またSotaは私たちが提供するクラウドサービスと連携しているので、過去の購買履歴をデータ化することも可能です。現在は、「今回で3回目の来店ですね。じゃあ、僕がビールを一杯おごります」とロボットがお客様に話しかけるようなサービスができないか検証しています。お客様のリピート率を上げたり、客単価を上げたりする施策が成功したら、多くの飲食店に使っていただこうと考えています。

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