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「ロボティクス」を通してヘッドウォータースが描く、事業組織とエンジニアの未来(2/3)

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“ロボットクリエイティブ”の難しさと広がる可能性

変わりつつあるエンジニアの潮流

大塚:よく日本の技術者の方が、「外国の技術者とは発想が違う」というようなことをおっしゃっています。篠田さんは、日本人の技術者と外国の技術者の違いはどこにあると思われますか?

篠田:これからお話する内容にはだいぶ主観が入っているので、ご了承ください。まず、日本には圧倒的に大きなマーケットがあるので、ここに対してサービスを提供することで会社は十分にもうかります。つまり、日本人は世界に出る必要性がまったくないわけです。また、英語対応というところに関してもマーケットの影響があるように思います。影響力が弱い国、GDPが少ない国の技術者のほうが、外国語を勉強しますよね。中国でも英語を話せる人はいますが、一方で話せない人もかなり多い。国内に強いマーケットがあると「外に出にくい思考になる」と言われており、これは日本も中国も一緒です。

エンジニアはその歴史の中で、国内のクライアントから「言われたシステムを作る」という役割を当たり前のように果たしてきました。もちろん、クリエイティブに何かを生み出していたエンジニアもいなくはないのですが、多数派とは言えません。

大塚:なるほど。ヘッドウォータースの技術者は篠田さんの想いに共鳴した方たちだと思うので、かなりクリエイティビティーが高い方が多いのかなと想像します。その点では、日本最先端のクリエイターが集まる大手芸能プロダクションからのオーダーでコミュニケーションロボットのアプリ開発に着手したというのは、かなり大きな出来事だったわけですね?

篠田:そうですね。ただ「言うは易し、行うは難し」で、シナリオを書き、それを実現するというのは大変な作業でした。たとえば、「面白い感じで突っ込んでください」というシナリオが書いてあっても、面白い感じの動きがどのようなものかが全然わからない。「いい感じの間合い」が0.2秒後なのか、それとも0.5秒後なのか、わからないのです。結局、こうしたロボットの動きを面白くできるかどうかは、エンジニア側の感性次第。ですので、ベテランのエンジニアが全然駄目だったというケースもあれば、逆に新人のエンジニアがいいものを作ることも結構あるんですよね。

ロボットには人知を超えた業務を託すべき

大塚:ロボットを動かして「面白い感じ」「いい感じ」を実現するのが難しいというお話がありましたが、篠田さんの中で注目している領域や業界はありますか?

篠田:現実的なところだと、一番はショッピングモールや大型のスーパーマーケットなど、広くて案内をする人が必要になる施設です。この案内という仕事をリプレイスでき、人件費を削減できるのですごく導入しやすいと思います。先ほどSotaというロボットに関連してお話ししましたが、飲食店も同様にロボットの活躍が期待できる場所です。飲食店はリピーターを増やさなければなりませんので、ポイントシステムやCRM(顧客関係管理)の面で使う価値があります。

ある飲食店の経営者と話をした際、その方は「不特定多数のお客さんは要らない」とおっしゃっていました。「不特定多数の顧客を常に集めるにはコストがかかります。一定数のお客様が定期的に来てくれたほうが、コストを食材やサービスに当てられるので経営は安定する」と。このトラブルを起こさないお客さん、そして時に新規の方を呼び込んでくれる一定数のお客さんを手離さないようにするというのが、ロボットを使ったCRMの狙っている効果です。

大塚:CRMにおいては、どんなアクションが考えられますか?

篠田:たとえばお客さんの顔を1,000人、2,000人、3,000人と覚え、すべての方に「大塚さん、久しぶりですね」といった声をかけると、お客さんは喜びますよね?これを人間が完璧にやるのは大変です。相当気が利いたスタッフの方でも、コアなお客さんの顔を何十人分か覚えるくらいが限界でしょう。このお客さんが喜ぶ作業を、ロボットなら確実に実行できるんです。

おそらく、コミュニケーションロボットには「人間ができないこと」をやらせないと駄目なのだと思います。そして、人間ができないことをどこまでやれるか――。そのためにはAIの使用が必須になりますが、現状ではコストが課題ですね。人工知能は、性能的にだいぶ良くなってきました。顔の認識精度や膨大なデータから何かをリコメンドしていくといった作業のレベルは、完全に人間を超えています。このあたりの強みを応用した分野で、人間にできなかった業務を任せていくというところに挑戦していかないと、マーケットは広がっていかないのではないでしょうか。

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