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「ロボティクス」を通してヘッドウォータースが描く、事業組織とエンジニアの未来(3/3)

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技術者のイノベーションには正しい「環境作り」が必要

事業は「計画」ではなく「衝動」で起こされるもの

大塚:「エンジニアを中心としたイノベーティブなものが生まれる日本独自の環境や組織作り」という点でお話を進めます。私は、やはり組織が日本的なうちは、個々の能力や才能のあふれている人間をピックアップする環境がなければエンジニアの力が生きないのかと思ったりしますが、篠田さんが組織・環境作りの部分で力を入れていることはありますか?

篠田:私はどちらかというと、「計画的」というよりももう少しワイルドで「衝動的」なものが事業をつくっていくうえでは重要だと考えています。というのも、頭のいい人が計算づくで事業を作ってうまくいったケースのほうが、実は少ないのではないかと思うからです。

こういう言い方をしてしまうと身も蓋もありませんが、人生において事業を起こすよりも手堅い選択肢っていくらでもありますよね。一流のコンサルタントになって、年収1,000万円や2,000万円を目指すほうが少ないリスクで好待遇を得られます。事業にはリスクがあるので理論的に賢い選択を探すのではなく、衝動に突き動かされでもしないと「やってやろう!」とは思えないんです(笑)。なので、細かい制度やルールを定めて「このような枠組みでやりませんか?」と言っても駄目。もう少し荒々しい中で事業を作っていく環境が必要だと思います。

私が今申し上げたような環境を作る上で意識しているのは、一つは「一貫性」です。社員が入社する際に言ったこと、会社の制度、哲学、今歩んでいる事業分野の一貫した信念がずれてしまうと、信頼を失います。うちの会社に来たということは、そのポリシーに信頼と期待と共感を持ったということ。これをずらしてしまうと、会社を存続するためのコアがなくなってしまいます。私も完璧な人間ではないので時にはずれてしまうこともあるかもしれませんが、一貫していこうという意識は常に持ち続けています。

大塚:もう一つは?

篠田:青天井の決裁権をいかに持たせるか、ということです。縛りのない決裁権とリスクを背負える人材は、細かい話を抜きにして事業家になっていくのだと思います。この青天井の決裁権を持たせるために、私たちが10年ぐらいずっと導入していることがあります。それが、「事業部制」というものです。

うちはもともと役員と事業部長ぐらいしか役職がなく、事業計画を出した人間が社内からメンバーを集め、役員会に提出・プレゼンしてそれが通ると事業部が立ち上がります。この時、給料がガーンと上がります。給料も上がるのですが、事業部長には青天井の決裁権を持たせており、自分の給料と集めたメンバーの給料を事業部長がすべて自分で決めることができます。年間の予算も、余ったお金を投資するか賞与に還元するかも、決裁権は事業部長にあります。こうした裁量とともに、事業計画を実現するのです。

これはビジネス感覚に優れたエンジニアを生み出すための施策ですが、あくまでも手段ですので、今後はより良い制度へと進化させていきます。

大塚:事業部長になった方々は、みなさんエンジニア出身ですか?

篠田:そうですね。全員エンジニア出身です。そのようなことをやってきた中で生き残った代表的な事業の一つが、ロボティクスなんです。

IoTの事業化は「適切な金額×快適なUX」が肝

大塚:篠田さんがおっしゃった「なんだかんだ、ビジネスとはワイルドだから」という言葉に、すごく衝撃を受けました。野性的なエンジニアを輩出したい、という意欲が満々ですね。

篠田:そうですね。野性的なエンジニア、最強だと思います(笑)。工数管理や作業チェックといったエンジニアとしての細かい管理はみんなできますし、そのような論理性とそこを飛び越えられる強い意志の両方を持っているエンジニアほど素晴らしい人材はいません。いろいろな職業の方を否定するつもりは毛頭ありませんが、やはりエンジニアほどアグレッシブで、素晴らしく発展的で、全世界に影響を与えられえるような仕事はないと思っています。

大塚:今日は篠田さんの熱いお話を聞いて、サービスのことが気になっている方もいらっしゃるのではないかと思います。今いくつかあるサービスのうち、期待感を持っているものや今後の展開などについてお聞かせいただけますか?

篠田:先ほども申し上げましたが、ロボットマーケットが飛躍的に伸びるにはもう少し時間が必要かもしれません。その前に市場が成立するのは、IoT関連のサービスだと思います。いろいろなデバイスをインターネットにつなげてソリューションを作っていくのですが、その過程でさまざまな情報を得ることが可能です。貯まったデータを利用することで、さらに高度なサービスの提供が可能になると考えています。

先日、ある不動産会社から「電気やエアコンが付いているのかいないのかを把握でき、外からスマホでスイッチを入れたり消したりできるシステムを提供してもらえませんか?」という問い合わせをいただきました。
そこでは、私たちのクラウドサービスを使えば比較的簡単かつ低価格で実現できるということを説明しました。

そのようなスイッチからロボティクスまで、IoTデバイスをどのように組み合わせてサービス化をしていくかがこれからの重要なテーマになりそうです。それと同時に、そこに取り組んでいく中で集まったビッグデータが次なる事業の資産になります。

大塚:なるほど。IoTで対応する範囲は、どれくらいまでと想定されているのですか?

篠田:無限ですね。車もそうでしょうし、スマホもタブレットも当然そうでしょう。先ほどの例のように、スイッチ一つとってもIoTの範囲内です。そこに対してどれだけ適切な金額で快適なUXを提供できるかというところは、事業を発展させるうえで一つの鍵になると思います。

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